俺的クッキングパパ名作選

クッキングパパ - うえやまとち / イタリアン鍋料理は手軽でボリューム満点 | コミックDAYS (2023/01/09まで、118巻分が無料公開中)

クッキングパパが好きだ。
グルメマンガでもあるし、人情マンガでもあるが、戦いはない。
作者のうえやまとち先生の善性がこれでもかと発揮されているので、基本的に悪のキャラクターは存在しない。
使い捨てにされるキャラもほとんどおらず、どこかで急にその後が描かれているのも長期連載のうれしさがある。
読めるぶんは全部読めと言いたいところではあるが、いかんせん既刊163巻(現在)なので、今回改めて無料公開されていたぶんを読み返してオススメしたいエピソードを抜粋した。
絞りきれずにかなりの量になったが、年末年始で時間を持て余していればぜひ読んでほしい。


エリカちゃん

クッキングパパでもっとも可愛いキャラは、と聞かれればまずエリカちゃんと答える。地元商店街に住む、まげもの屋の爺さんの孫娘だ。
ぜひ見ていってほしい。ここだけ特に画像付きで。これは自分のためのまとめでもある。

クッキングパパ - うえやまとち / いろいろおもしろハンバーグを作ろう!!(ひき肉料理特集第2弾) | コミックDAYS

こんなに幸薄そうな少女を描けるうえやまとち先生

クッキングパパ - うえやまとち / もちもちパンで元気もちもち!! | コミックDAYS

中学生になってスポット再登場

クッキングパパ - うえやまとち / ごちそうスタッフド・ポーク | コミックDAYS

元気な高校生になりました



大人の恋愛

恋愛人情話もあったりするのがクッキングパパ
出会いがあったり、別れがあったり。いろんな形のエピソードがあって染みる。何気ない表情とか、そういうのがうまいんだよなぁ。ありあまる行間がな・・・

クッキングパパ - うえやまとち / ふるさとの味 郷愁のギョロッケ | コミックDAYS

クッキングパパ - うえやまとち / 哀愁のゴマダレうどん | コミックDAYS

クッキングパパ - うえやまとち / 懐かしのうす焼き | コミックDAYS

クッキングパパ - うえやまとち / グッバイ マイ ラブ他人丼 | コミックDAYS

クッキングパパ - うえやまとち / 甘くやさしいいとこ煮 | コミックDAYS



良い話

ただただ良い話がある。クッキングパパの本質は、なんの毒もない良い話だということです。

クッキングパパ - うえやまとち / 兄ちゃんのぶっ飛び卵焼き | コミックDAYS
クッキングパパの原点

クッキングパパ - うえやまとち / うまさでっかいスーパークリームシチュー | コミックDAYS
みゆきちゃん目線のマンガ演出が良い、

クッキングパパ - うえやまとち / オヤジのトリスキ(鍋特集第1弾) | コミックDAYS
「顔が見えた」が良すぎる

クッキングパパ - うえやまとち / 楽しいぞ!! タピオカクッキング | コミックDAYS
子育てってこういうことなんだよねっていう

クッキングパパ - うえやまとち / 母のチュロス | コミックDAYS
ただの良い話

クッキングパパ - うえやまとち / 甘い甘いスイートカレー | コミックDAYS
この話だけじゃなくて、クッキングパパって老夫婦の愛もちゃんと描いてるんだよね

老人マジシャンの良い話

頓田課長の仕事と家庭回

えっちゃん失恋編

えっちゃんがいい女なんだこれが

純子ちゃん

初期に同じアパートに住んでいた純子ちゃんが出てくる回、けっこう良い話が多いのでまとめた。数年後のお話もある。

クッキングパパ - うえやまとち / 春待ちダゴ汁 | コミックDAYS

クッキングパパ - うえやまとち / ふんわり ふんわり シュークリーム | コミックDAYS

クッキングパパ - うえやまとち / 春の海の恵みあさりめし | コミックDAYS

クッキングパパ - うえやまとち / 甘く やさしいミルフィーユ | コミックDAYS

クッキングパパ - うえやまとち / 中華の定番!! 鶏肉とカシューナッツ炒め | コミックDAYS



クッキングパパに見る『女性』

ここではエピソードというより、特筆しておきたい部分について。

出産

クッキングパパはいろんなキャラクターの人生を描いているマンガなので、結婚・出産がからむお話も出てくる。
とりわけ『出産』にフォーカスを当てると、とにかく出産後の女性キャラの表情が実に美しく描かれている。

うえやまとち先生の「母性」に対するリスペクトをひしひしと感じる筆致だ・・・。

少女から女性へ

また、少女が成長していく様子を感慨深く眺めるシーンもいくつか見受けられる。

変なシーンではなく
クッキングパパ - うえやまとち / とびっきりのアワビスープ | コミックDAYS
扉絵のえっちゃんもとにかくなんかキレイに描いてある。

また、掲載時にネットで変に話題になってしまっていた

ほんとにすごいマンガだと思います
このシーンも、この後の荒岩の心境を描いた数ページを見ればずいぶんと印象が変わるはずだ。
クッキングパパ - うえやまとち / おもしろパン特集-2 なかよしフォカッチャ | コミックDAYS

全部読め

いろいろ書いたんですが、最終的には全部読んでほしいです。

がんばったねなんて言われたくない

そのうちツイ消しあるだろうし該当のツイートへのリンク貼り付けはしないんだけど、内容としては

『バレエをやりこんでいたがプロへの道は諦めて一般の職業へ就活していたら、面接で「なぜプロにならなかったのか」と聞かれて屈辱的だった。私だってなりたくてこれこれこうがんばっていたが~(以下略)』

というものを見た。

自分も声優やったが才能も運も足りなかったのでぜんぜん仕事も増えずに、転職するには限界かなとなる年齢まで来たので諦めていま普通に働いている、という身なので非常にわかる話ではある。あるが、普通に働くと決めた以上は、諦めたことを引きずっているのであればその不本意な経歴をピエロの仮装みたいに着こなして踊り狂って残りの余生を送る、もしくは気持ちの整理ができたと思えば謎の全能感を身にまとって「おれは今までこれだけすごいことをやっていた。次も新しいことにチャレンジする」とうそぶく、このどちらかが正着だろうと思っているので強く生きてほしい。

 

ただ目についた部分で、ここは共感できないなと思った部分があった。

ツイートを投稿したアカウントのbioに「もしも、余裕がありましたら一言「頑張ったね」とリプを頂ければ幸いです」という一言があったことだ。

『頑張ったね』?

何も知らないインターネットの人間にそんなこと言われて、わざわざスクショ4枚使ってまとめた『お気持ち』はそんなもので慰められるものなのか?おれには全く理解できない。たとえ知り合いだとしても「がんばったね」なんて言われたら「社交辞令だと思うがそう言ってくれるのはありがたい。が、お前はおれがどうがんばってどう諦めたかをたぶん理解できていないから軽々しくは言わないでほしい」という気持ちになる。書いてて思うけど、ずいぶんこじれちゃっててなんて面倒くさいやつなんだろうな。「そうだねー」とか言っとけば良い話だし、「がんばったね」と言ってくれた人もそんなに悪気はないし、なんならまともな人だ。おれもそれは頭では理解しているから「そうだねー」って言う。

それでも。

リスク背負ってチャレンジしようと思ったのはおれ自身だし、何年かはやり続けていたのもおれ自身だし、気持ちが折れてがんばれなくなって諦めたのも、諦めることに決めたのもおれ自身で、まともな道に戻れるように日和ったのもおれ自身だ。他人の「がんばったね」「大変だったね」なんて言葉が入るスキはこの一連の流れには存在しない。当たり前だろ。やりたいようにやってダメになったんだから挫折に至った道くらいはおれだけのものにしてくれよ。そもそも「がんばったね」なんて言われるほどがんばってたら諦めずにまだチャレンジしてる。限界を突破して普通の生活を放棄できるほどの覚悟も狂気もない。こんな日記書いてる時点で「がんばってない」。

じゃあどうだったら納得できるんだろうな。「がんばりきれなかったね」がいいのかな。うん、「がんばったね」なんて言われるよりだいぶしっくりくるし、心から笑顔で「そうだったんだよ~」って返せる自信がある。

 

(踊りながら)がんばりきれなかったね~。